円窓唐美人図
| 作者 | 司馬江漢 |
|---|---|
| Artist | SHIBA Kokan |
| Title | Chinese Beauty by the Circular Window |
| 制作時期 | 江戸時代後期 |
| 技法・材質 | 絹本油彩 一幅 |
| サイズ | 91.2cm×51.0cm |
| 署名等 | 画面左上:Naa MaaKel Siens Wi ro Wi ,/江漢写 Shibazun , |
| 取得方法 | 購入 |
| 取得年度 | 平成13年度 |
| 所蔵品目録番号 | 0987 |
| 作品解説 | 画面いっぱいに、中国女性と窓の外に広がる雄大な景色が描かれています。多才な活動で知られる江戸時代後期の画家、司馬江漢が、ヨーロッパ風の絵画を手がけるようになって間もない頃に描いたと推測されます。 絵具は、荏胡麻の油や蝋などを使って調合したと考えられ、独特の光沢を放っています。今日では「油彩画」に分類されますが、当時とすれば、まさに独自な材料による新しい絵画でした。彼自身も、この種の絵のことを「蝋油画」「蝋画」と呼んでおり、独自なものとして意識していたことがうかがわれます。 また、当時は、画面の余白を生かしたり暈しを用いたりして、余韻を表現する絵画が、美しい絵画の一つの典型でした。それに対して、司馬江漢をはじめとする江戸時代の洋風画家は、人間の視野と同様の光景を画面上に再現するというヨーロッパの遠近法を知り、制作に用いました。それまでの絵画とは、趣も絵画空間のありかたも根本的に異なる彼らの絵画は、当時の一般的な美意識からみれば、相容れない部分もあったことでしょう。 現在では、江戸時代の洋風画は、歴史的にも重要なものとしてよく知られています。しかし、江戸時代に描かれた絵画全体からみれば、画家や作品の数からみても、きわめて限られたものでした。先進的な意識をもった作家たちによる、新しい創作のための前衛的な実験といってもよいものでしょう。この作品から感じられる迫力は、先駆者としての江漢の意気込みなのかもしれません。 (金子信久「所蔵品から」『府中市美術館だより』第10号、2003年11月、府中市美術館) |
