逝く春
| 作者 | 青木繁・福田たね |
|---|---|
| Artist | AOKI Shigeru and FUKUDA Tane |
| Title | Passing Spring |
| 制作時期 | 明治39年(1906) |
| 技法・材質 | キャンバス、油彩 |
| サイズ | 126.2cm×83.5cm |
| 署名等 | 画面左上:S.AWOKI 1906 |
| 取得方法 | 河野保雄氏寄贈 |
| 取得年度 | 平成8年度 |
| コレクション名 | 河野コレクション |
| 所蔵品目録番号 | 0027 |
| 作品解説 | 福田たねは、明治18年(1885)、今の栃木県芳賀町に呉服商福田豊吉の次女として生まれた。当時女性では珍しく父の応援もあって、18歳で日光の五百城文哉に学び、さらに上京し小山正太郎の不同舎に入門した。一方、青木繁も明治32年、不同舎に入門。福田たねと出会っている。明治36年第8回の白馬会展で入賞。翌年には東京美術学校を卒業し、森田恒友、坂本繁二郎、福田たねと房州布良に取材し、《海の幸》を制作し時代の寵児となっていた。 本作品はたねによって制作され、明治38年の第4回太平洋画会に《行く春》として出品されたことが、資料調査と紫外線写真撮影によって確認できる。この時の図様は、いかにもたねらしく、やや硬い構図で、実直な描写であった。 その後おそらく一子幸彦の出産で栃木県芳賀に寄寓した折りに、構図はそのままとしながらも細部に於いて大幅な加筆が青木繁によって行われたのである。他者の作品に筆を加えることの多かった青木であるが、加筆によりカーテン越しの柔らかな光と青木らしいドラマ性と熱情が与えられたのである。 たねの原作には、青木の得意とする古典的なモチーフが配され、出品後青木自身によってさらに細部が明確化された作品で、単に「合作」「加筆」という言葉では言い表せぬ、たねが生涯手元においた青木との記念的作品である。 (志賀秀孝「作品解説」『府中市美術館所蔵作品50選』2000年、府中市美術館) |
