窓外風景

作者木村荘八
ArtistKIMURA Shohachi
TitleView from a Window
制作時期昭和27年(1952)
技法・材質板、油彩
サイズ27.1cm×40.5cm
取得方法購入
取得年度平成8年度
コレクション名河野コレクション
所蔵品目録番号0070
作品解説杉並区和田堀にあった木村荘八の自宅二階のガラス窓から見た風景スケッチです。うららかな春の景色でしょうか、見ていると柔らかい感触に包まれます。戦後の荘八は挿し絵画家として有名で仕事も忙しく、油絵の制作は思うにまかせませんでした。しかし、仕事のあいまを使って四季折々の変化を描いた同構図のシリーズをいくつか制作してもいます。《窓外風景》もその一つで、ちいさな板絵であり、短い時間に仕上げた写生にはちがいありません。が、色彩がまことに美しく、空のクリーム色など、内側から輝いているような魅力があります。たぶん板の特性を生かして色の暖かみを深くしているからでしょう。全体として、木々の濃い緑と空の明るさの対比を、左の洋館と手前の赤い屋根が和らげており、非常にセンスのいい佳品です。
 木村荘八(1893-1958)は、日本橋の牛肉店「いろは」に生まれた生粋の江戸っ子でした。草土社の同人として、また永井荷風の小説『濹東綺譚』の挿し絵を描いた画家として広く知られています。
(山村仁志「所蔵作品から」『府中市美術館開設準備室だより』第5号、1998年3月、府中市美術館)

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