ニホンオオカミとされる獣の写真(明治43年8月、松平試農場)

松平試農場にて捕殺されたニホンオオカミとされる獣の写真

大分類写真
中分類古写真(明治・大正時代の風景)
解説 1910年(明治43年)8月3日夕方、松平試農場寄習舎付近に現れた野犬らしき動物を、試農場の研究生・職員が捕殺。その数日前に福井県内を巡回していた巡回動物園からオオカミ1頭が逃走した情報があった。翌4日に福井中学の教諭が死骸を確認、ニホンオオカミと判定した。同日巡回動物園の職員が確認したところ同園所有の個体ではなかったという結論に達している。(友永 富1967「松平試農場誌」(2)『福井の農業』11月号)
 本写真はこの時に撮影されたもの。この個体は剥製標本とされたが、福井空襲により焼失している。
 ニホンオオカミは1905(明治38)年の奈良県での捕獲例が最後の個体とされ、環境省レッドデータでは「絶滅」種に分類されている。
 1962年(昭和37年)、日本哺乳動物学会でこれを最後のニホンオオカミとする説が示されたが、標本が現存せず決定的な証拠に欠けており、チョウセンオオカミの可能性も指摘されて説は否定されている。
 その後、松平文庫(福井県文書館保管)の中に、オオカミの体重(約19㎏)を記した日記、捕殺者と一緒に撮影された別の写真が確認され、2003(平成15)年発表の論文(吉行瑞子・今泉吉典「福井城内で射殺されたニホンオオカミ」『ANIMATE』第4号、農大動物研究会、2003年)では再度ニホンオオカミ説が提唱されたが、定説を覆すには至っていない。

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