鯉鱗包鞘大小拵(信国・広正付)付属 蛇皮包・石地塗青貝梵字入替鞘/付属品類
大分類 | 美術工芸資料等 |
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中分類 | 武器武具 |
公開解説 | ●鯉鱗包大小拵 全長(大)九九・〇㎝/(小)五九・五㎝ 江戸時代後期 福井市春嶽公記念文庫 福井藩十六代藩主松平春嶽愛用の拵。 鞘に鯉の鱗を一枚一枚張り付けて金泥と透明漆をかけた華やかな拵。縁金具(柄の鐔に接する部分の金具)の意匠として、野や海にころがる〝されこうべ〟の図柄をあしらっている。これは万葉歌人・大伴家持の長歌「海行かばく、山行かば草生す屍…」(『万葉集』巻十八)に取材したもの。鞘の華麗さと無常を表す金具の図柄が対照をなす。 脇指付属の小柄小刀には、写真のような銘がある。とは現高知県市沖にある小島で、旧伊予宇和島藩領。ここに漂着した外国船の鉄製部品から造った小刀だという。幕末の宇和島藩主・伊達は春嶽と親交があり、その縁で入手されたものか。 小柄裏に小さな方位磁針が埋込まれているのも、春嶽の趣味が窺えて興味深い。 ●蛇革包大小替鞘 鞘長(大)七五・三㎝/(小)四五・二㎝ 江戸時代後期 鞘に熱帯産のニシキヘビの革をあしらった、華やかな拵。日本刀の外装にニシキヘビを使用した例は古今他に例を見ない。 ●石地塗青貝文字入大小替鞘 鞘長(大)七七・三㎝/(小)四七・四㎝ 江戸時代 古くより「梵字入」と称されていたが、象嵌されているのは大の方は篆書の漢字、小の方が道教の霊符である五嶽真景図(中国の霊山を記号化したもの)である。象嵌には青貝の他、卵殻や金などを用いている。松平春嶽愛用の替鞘の一つ。 国学・神道の大家であった平田篤胤は道教や神仙思想にも造詣が深く、五嶽真景図などについても考察を遺している。春嶽は篤胤の著書に親しんだ時期があり、その影響を受けていたのかもしれない。 |