犬と坂道のアニメーション

作品名(よみ)イヌトサカミチノアニメーション
作 者坂本夏子
公開解説熊本出身の画家・坂本夏子は、作品ごとにテーマや描き方の条件を設定することで、自らもまだ見たことのないような絵をつくり上げていくことを試みています。
《犬と坂道のアニメーション》は、一枚の紙の上に木炭でイメージを描いては消し、さらにまた描き、という繰り返しでつくられた簡易なアニメーションです。
平たい画面のなかに正面から見た坂道が表現できるということ、犬がその坂道の上を歩いているという位置関係が描けるということ。それは考えてみれば不思議なことです。(そこには遠近法や影の描写など、絵画表現上の技法がいくつも含まれています。)また、このアニメーションを見ていると、先ほどまで犬やその影に見えていたものが、コマが進むと坂道の地面の一部となっていくことにも気づきます。
支持体の上に画材をこすりつけることで、何らかのイメージが現れること。またそれらの画材の痕跡により、画面上に空間のようなものが立ち上がり、絵が絵になること。本作はそのような「絵の始まり」の感触を探った小作品といえるかもしれません。
 本作は、個人コレクター・甲斐寿紀雄氏のコレクションを紹介した2019年の展示「MY NAME IS TOKYO KAI AND I AM AN ARTOHOLIC 甲斐寿紀雄コレクション展」に出品され、その後、甲斐氏から当館へ寄贈されました。

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