灰釉鉄絵農夫図六角柱形水滴

所蔵資料登録番号A007193-000986
作品・資料名灰釉鉄絵農夫図六角柱形水滴
制作時代・年代昭和-平成時代
制作/生産地(現在の地名)日本、岐阜県高山市
資料点数1点
寸法高5.0 口径0.2 底径3.7×3.2
寄贈者大島国康氏寄贈
作品解説 注水機能をもつ陶磁は、現志の日本列島では縄文注口土器や弥生水差形土器、大陸では大汶口文化白陶鬹などが知られる。こうした広義の水注が後に文字の普及とともに小型化して文房水滴として取り入れられ、水柱形水滴が成立したのであろう。一方、水盂は西晋代越州窯青磁の事例が知られ、文房水滴専用陶磁の早い例として捉えられるが、歴史的には小杯や小壺類の転用も多い。狭義の陶製水滴については、日本では古瀬戸形象水滴が本格的な生産の始点といえる。
 白川静の古代漢字学では、器は人と神を結ぶもので、文字は神とともにあり、文字は神であったという。この観点によれば注ぐ器とは、注ぎー注がれるものの間に宗教的、政治的な関係を成立させる存在である。人が硯へ水を注ぐ時、人は神と繋がることとなり、必然的に緊張が生じることとなる。その緊張に向き合う際、文房水滴の造形が人の心に作用する。注ぎの造形の多様性とは、人の心の多様性を象徴しているといえるだろう。『水滴 小さき陶芸 ―大島国康コレクションを中心に―』(2021、愛知県陶磁美術館)より

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