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織部松皮菱形手鉢

所蔵資料登録番号A007213
作品・資料名織部松皮菱形手鉢
制作時代・年代江戸時代後期(19世紀前半)
窯・作者平澤九朗(初代) HIRASAWA Kuro 1st
制作/生産地(現在の地名)日本、愛知県名古屋市
資料点数1点
寸法高14.3 幅27.2×28.5
寄贈者田中竹二郎コレクション
作品解説平澤九朗(明和9-天保11年[1771-1840])は、尾張藩士。名を一貞、通称清九郎。禄400石を与えられ、文化11年(1814)に隠居。その後、到仕後に設けた養老園(名古屋市北区清水坂下)に草庵を結び、今昔庵と名付けて有楽流の茶事を楽しみとする一方、養老園にロクロを備えて窯を築いた。陶土は、瀬戸・赤津から取り寄せたほか、加藤春岱、加藤唐三郎等に作陶を手伝わせることもあった。長子・一胤、次子・住胤も作陶を行った。住胤も家督を継ぐと九朗と名乗り、御小納戸役として萩山焼や江戸の戸山焼・楽々園焼に関与した。
本作は、西尾という茶の大生産地と瀬戸・常滑という大窯業地を控えた都市文化圏であった、近世の名古屋のやきものを象徴するものの一つである。江戸時代後期の他の地域でも、茶を嗜む藩士、医師、商人等などの趣味人が自らの好みの道具を製作する傾向はあったが、その多くは楽焼などの軟質陶であった。こうした類の人々の余技としての作陶でありながら、本格的な陶器生産を可能にしたのは、窯業地を間近に持っていた名古屋特有のものとされる。

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