天恩寺仏殿

分類国指定
種別建造物
所在地岡崎市片寄町
所有者天恩寺
指定年月日M40.5.27
時代室町前期
詳細解説天恩寺は、広沢山と云い、臨済宗妙心寺派の名刹である。寺伝によると貞治元年(1362)に足利尊氏によって開かれ、近江永源寺の開祖寂室元光を請うて開祖としている。本尊は延命地蔵菩薩を祀る。総門を入ると池を前にして背後に高い石崖を造り、山腹に仏殿、中門(山門)、築地塀、方丈、庫裡、鐘楼を建てる。山腹を巧みに利用した池や石崖、曲折させた参道の構成は臨済宗寺院の趣を示している。仏殿は、建築様式から室町時代前期の建立と考えられている。
仏殿は、桁行3間(20.64尺)、梁間3間(24.3尺)、一重、入母屋造、檜皮葺の禅宗様仏殿である。背面の両脇間の脇仏壇では2.45尺外に張り出される。柱は総丸柱で、貫で固め、組物は禅宗様の出組詰組(つめぐみ)をおく。正面と背面の中央間では、両開き桟唐戸を吊り、正面の両脇間および側面の前端1間には花頭窓を開ける。妻飾りは虹梁大瓶束(たいへいづか)で、軒は二軒扇垂木(ふたのきおうぎだるき)である。堂内部は一つの空間で、土間の中央後方に来迎柱を立て、禅宗様須弥壇(しゅみだん)をおく。天井は一面に鏡天井を張る。この仏殿では、禅宗寺院らしく本格的な禅宗様をとるが、一方で、内部では上部架構を見せずに鏡天井を張るなど室町時代になると、新しい傾向が現れてくるのである。(沢田多喜二)

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