豊橋のナガバノイシモチソウ自生地

分類県指定
種別天然記念物(植)
所在地豊橋市佐藤町字池下49
所有者豊橋市
指定年月日R3.8.6
詳細解説日本産ナガバノイシモチソウ(長葉石持草)は、貧栄養湿地に生育するモウセンゴケ科の1年生食虫植物で、花弁は5枚、夏季に白色、赤色などの花を付ける。葉には多数の腺毛があり、粘液を分泌して補虫する。日本産の種は、東南アジアに生育するDrosera indica L.は,多年生で形態および遺伝的に異なることが判明した。さらに,日本産の赤花と白花も別種であり,ナガバノイシモチソウ(D. toyoakensin M.Watanabe et Seriz),シロバナナガバノイシモチソウ(D. makino Masam.)に分類された植物である。
 赤花のナガバノイシモチソウは,愛知県のみに生育している。現在「豊明のナガバノイシモチソウ」が県指定、豊橋市佐藤町の「ナガバノイシモチソウ自生地」が市指定となっており,自生が確認されているのはこの2か所のみである。
 佐藤町の自生地は、1971年に発見されたもので、1980年代には周辺の区画整理事業等の影響で、一時は絶滅も危惧される状況となっていた。その後1993年に豊橋市の天然記念物に指定された。保全活動が行われていたがクロマツやコナラなどの樹木が茂り,2011年には自生数が約300個体まで減少した。2013年から日照をさえぎっていた樹木の大規模伐採、除草作業による環境整備事業等が開始され、現状においては、ナガバノイシモチソウだけでなく、湿地性の植物を中心に、様々な植物の自生が認められている。
 当該地は、現在2カ所しかないナガバノイシモチソウの自生地であること、また、豊橋市教育委員会の継続的な保全活動により、安定的な世代交代が行われていることから、県指定天然記念物として十分な要件を備えているといえる。また、観察会などの公開活動も積極的に行われており、文化財としての指定により、県民の一層の自然保護意識の向上に資することが期待される。

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