豊邦のアカガシ

分類県指定
種別天然記念物(植)
所在地北設楽郡設楽町豊邦字豊詰69-1、70-1
所有者個人
指定年月日H27.9.4
詳細解説本樹は、北設楽郡設楽町大字豊邦地内に自生するアカガシの巨木である。ブナ科のアカガシは、関東地方以南の太平洋側の温暖な地に点在し、中部地方以南の山地に多く分布する常緑高木である。
本樹は標高約 615m で生長しており、分布の上限である。推定樹齢は推定 400 年であり、樹高 18.0m 、幹周 11.5m 、枝張は東へ8.7m 、南へ 15.0m 、西へ 14.5m 、北へ 15m に達する巨樹である。 主幹はすでに朽果て崩壊し、現在の四方に張り出す幹は、主幹の根に近い部分から分岐している。遺伝子解析の結果 、 複数の個体の癒合木であることが判明した。状態は株立ちなので単純な比較はできないが、現在環境省の巨樹データベースでは、幹周 10mを上回るアカ
ガシは全国でも類例がなく、有数の巨木である。隆起した太い根元と四方に張り出す長大な幹が形成する雄大で荘厳な姿は、長い歳月により形成されたと推定される。本樹は、地元で古くから「 暗樫・ 大樫」と呼ばれ、昭和 40 年代頃まで湯立てをしたり御札を収めたりしたと言われており、現在も釜跡の遺構が残っている。約 200 年前(江戸後期、文化 12 年〈 1815 〉)に作られた古絵図に、既に「クラガシ」として記載されている。また 、本樹のある山の麓には 、 室町時代 (永正元年 〈 1504 〉 創建の神社があり 、 御神木として認識されていたとみられる。
このように本樹は、分布の上限で生長している、全国でも有数のアカガシの巨木であるとともに、古くから信仰の対象となり、地元で大切に保存され 、その歴史を重ねてきた樹木である。

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