西尾のミカワギセル生息地

分類県指定
種別天然記念物(動)
所在地西尾市花蔵寺町五貫目東25 26
所有者個人
指定年月日S49.10.9
詳細解説ミカワギセルはキセル状の小さな陸棲の巻貝でキセルガイ科に属する。1905年、梅村魁が三ヶ根山で発見(模式産地)した数少い貝で、生息地は愛知県、三重県、静岡県に限られ、低山帯に局地的に分布し互に隔絶した土地に孤立的に生息している。日本には約800種の陸産貝類が生息するが、そのうちキセルガイ科は2百数十種を占め、最も多い種群である。キセルガイ科は卵生と卵胎生が約半々であるが、ミカワギセルは卵生である。殻高22mm、殻径5mm、螺層は普通11層あり、殻は円筒~紡錘形で黄褐色である。強く粗い斜めの成長脈でおおわれる。殻口は広卵形で唇縁は白く狭く反転する。林内の倒木下や落葉堆積下に生息するが、人家周辺の石垣等でも見られる。本種は産地により殻の形態変異があり、模式産地周辺の個体はミカワギセルの特徴である体層の成長脈が顕著に現れるが、豊田市や岡崎市等の産地では螺層が12~13層で成長脈も薄く、亜種のコンボウギセルに近似する個体も見られる(収集家は中間型・移行型と言う)。生息地の多くが人家周辺の林や河畔林である事から、開発・河川改修等や強い採取圧により、生息地の激減が危惧される。
指定地域は屋敷林で常緑樹(カラタチバナをはじめ20種)、落葉樹(イヌビワを始め8種)を主にクサソテツ、ヤツシロラン等約50種を数える暖地性、海浜性の珍しい植物が繁茂してミカワギセルの生息に好適な環境を形づくっている。
参考資料
『原色日本陸産貝類図鑑 増補改訂版』 1995年 保育社
『日本産キセルガイ科貝類の分類と分布に関する研究』 1994年 日本貝類学会

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