八橋伝説地

分類県指定
種別名勝
所在地知立市八橋町
所有者知立市
指定年月日S40.5.21
詳細解説平安時代前期の9世紀末から10世紀初めに編まれた『伊勢物語』に、有名な「東下り」(第九段)の旅の話がある。三河の国の「水ゆくかわの くもてなれば はしをやつわたせるによりて」八橋という名のついた場所にて休息中、橋のほとりに美しく咲く燕子花(かきつばた)をみて、主人公がかきつばたの五文字を各句の頭に置いて旅のこころを「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」と詠み、乾飯(かれいい)に涙するという望郷の物語である。その推定地がこの場所である。
10世紀に成立した『古今集』に、このうたを9世紀に実在した在原業平の作として載せるところから、東下りの主人公を業平本人とするものだが、業平自身が東下りをしたという事実もなく八橋の場所も明確ではない。しかし物語や紀行文など多くの人々によって語り継がれてきた伝承の場所は、知立市八橋と豊田市駒場町の間を流れる逢妻川付近の沖積低地と想定され、その上部、洪積台地西端の小丘上には業平の墓と称する塔が建ち、地域の人々の伝説の中に八橋が生きている。
現状は往時から大きく変貌してきているが、国文学上の著名な地として記念すべきところである。指定面積221m2。

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