藤江のだんつく獅子舞

分類県指定
種別無形民俗
所在地知多郡東浦町大字藤江
所有者藤江神社 八ッ頭舞楽保存会
指定年月日H24.1.17
詳細解説「だんつく獅子舞」は、知多郡東浦町藤江に伝わる一人立ち獅子舞で、現在は10月第2日曜日の藤江神社祭礼に奉納される芸能であり、地元では「だんつく」または「八ッ頭」と呼称される。
獅子は雌雄があって胸に太鼓を着け、拝殿前に特設された舞台で獅子舞を演じる。演目は「恋歌仙」「膝折」「隠獅子」の三曲があり、最後の「隠獅子」には6頭の子獅子が加わることから、この獅子舞を「八ッ頭」と称したのである。
それぞれ曲目の初めには、棒使いとも呼ばれる素盞嗚尊が仮面を着け、右手に持った棒を回転させながら舞台を清めている。獅子の角は雄が二本、雌は一本であり、これら親獅子が一対で踊ることを基本とする。囃子は笛と締太鼓で、所々で歌が唄われる。
親獅子が着けた太鼓の皮面は、獅子頭から下がるマントのような幕で隠れているので、叩いても音が出ないために太鼓役が同様に叩く。その締太鼓は強く締めないことも約束となっており、そのため「だんつく」は囃子の擬音から芸能名になったことが考えられる。
この獅子舞の由来は定かでないが、伝承によると、寛文8年(1668)に知多郡横根(現大府市)から道具を譲り受けて始めたといわれている。記録として旧獅子頭裏に「奉修理 享保七寅年 藤江神社 御神宝」の墨書銘があり、これにより享保7年(1722)には藤江で伝承されていたことが明らかである。また古くは雨乞いの獅子舞として踊られたと伝えられている。
一人立ち獅子舞は県内では数少ない芸能である。また、近畿地方に広く分布する風流太鼓踊りとの関係が想定できるとともに、この地に「だんつく獅子舞」のような独特な芸能が伝わることは、これからの東国における風流獅子舞の研究にも欠くことができず、貴重な獅子舞であるといえる。
このように「だんつく獅子舞」は、愛知県の一人立ち獅子舞だけでなく日本の風流系の獅子舞、さらに太鼓踊りを考える上からも存在する意義は大きい。

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