木造阿弥陀如来坐像

分類県指定
種別彫刻
所在地名古屋市中区橘
所有者栄国寺
指定年月日H14.8.23
時代鎌倉
詳細解説像高223.0cm、桧材、寄木造(よせぎづくり)、玉眼(ぎょくがん)、漆箔(しっぱく)。
量感を抑えた肉付け、浅く整理された衣文線、また側面から見たいわゆる猫背と呼ばれる前かがみの体駆などは、明らかに平安後期に流行した定朝(じょうちょう)様の影響下にあることを物語る。
しかしその反面、定朝様の規範をはみだす特色が散見されることも注目される。螺髪(らほつ)がやや大粒になったこと、表情に定朝様には見られない精悍さが目立つこと、衣文の襞(ひだ)が布の持つ柔らかな質感を失い始めていること、さらには膝張りに対する像高の比率が平安後期の彫刻に比べてより大きくなっていること(つまり上半身の立ち上がりが大きく、像全体が痩身に見えること)などの特色には、定朝様の調和や繊細さをいろいろな仕方で崩していこうとする新傾向が見てとれる。鎌倉時代に一般化する玉眼を嵌入(かんにゅう)していることも、技法面での新傾向である。
以上のように考えると、この像は平安後期の定朝様という保守的な彫刻形式を学んだ仏師が、時代の推移につれておのずと鎌倉時代の気風と新技術を摂取していったことを示す彫刻の好例と判断すべきものであり、この時期の彫刻史の推移を考察するうえでの貴重な資料であると考えられる。

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