木造宝冠阿弥陀如来坐像

分類県指定
種別彫刻
所在地豊川市財賀町
所有者財賀寺
指定年月日H8.3.18
時代平安末期か
詳細解説像高92.4cm、桧材、寄木造(よせぎづくり)、彫眼(ちょうがん)、漆箔(しっぱく)。
通肩(つうけん)の着衣を着け、頭上に宝冠(ほうかん)を飾る宝冠阿弥陀とよばれる形式で、印相(いんそう)も当初は弥陀定印を結んでいたはずである。宝冠阿弥陀は天台宗の基本的な修行四種三昧(ししゅざんまい)の1つである常行三昧(じょうぎょうざんまい)を修する常行三昧堂の本尊形式で、仁寿元年(851)、慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が唐からはじめて比叡山に伝え、東塔常行三昧堂に安置したものをいう。
像の表現は特に量感を強調するというわけではないが、胸部、腹部、両ももなどの肉付けの表現には豊満ともいえる柔軟な肉身部が感じられ、円仁時代の密教像の伝統を強くうかがわせている。衣文の彫法も柔軟な肉身表現をそこなうことのないような浅い波形の襞を刻んでいて、平安後期の伝統をよく残している。ただ面相表現の目尻をつりあげた眼形や引きしめた頬の肉付けなどには、鎌倉的な芽生えもあらわれている。
本像は数少ない宝冠阿弥陀像の遺品であるばかりでなく、類品中の最大像であるとともに、制作年代(鎌倉初期)も古い時代に属し、かつ作品の技法や質の面からみても、中央作に匹敵する水準にあるものと判断される。

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