塑像仏頭

分類県指定
種別彫刻
所在地岡崎市真福寺町
所有者真福寺
指定年月日S58.3.7
時代奈良
詳細解説現状は総長47.0cm、面長30.0cm、面幅29.7cm、頭部右側上部地髪部から肉髻(にっけい)部にかけて欠損、両耳もほとんど欠損、中央の額から地髪(じはつ)部にかけて多少破損、頸部以下は無い。
籾を混ぜた粘土の上に、中土を厚目に付け、仕上土で仕上げているようであるが、火難に遭った跡を示している。
塑像(そぞう)はおよそ奈良時代特有のもので、本寺のものは幸い顔面が残存しており、しかもそれが明らかに天平時代の面影を示している。
本寺の草創は明確でないが、文献上で、真福寺の名は国内他寺と並んで奈良時代にある。残存する本仏頭の表現形式から見ても、奈良時代の草創という点は納得し得る。
ゆるやかな弧線を描く写実的な眼形や、眉から自然に続く鼻梁の人間らしい表現、そして適当に落ち着いた感じの額、見事な口唇、さらに全体の輪郭線の描く温かい感じの造形は、明らかに天平の相貌である。草創期の本尊だったのではないかという想像が生まれるのも無理はなかろう。
いずれにしても、県下現存の塑像仏頭としては最古のもので、造形的な美しさからみても非常に貴重である。
なお、同寺には他に2個の塑像仏頭があり、1つは菩薩頭部で仏頭と同時期、もう1つは鎌倉期の作と思われ、合わせて注目すべきである。

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