豊根の大トチノキ

分類県指定
所在地北設楽郡豊根村
所有者古河機械金属株式会社
指定年月日2022/07/29
詳細解説 トチノキは落葉性の高木で、北海道南西部、本州、四国、九州に自生する。水気を好み、湿潤で、土壌が肥沃な斜面下部から谷底面にかけての立地に多く生育する。
 「豊根の大トチノキ」は古くからこの地で生育している古樹である。樹高32.59m、根回り15.3m、胸高直径7.48mの巨木で、豊根村に所在するトチノキの中でも最大のものであり、国内でも有数の巨木である。樹齢は数百年とされ、推定で500年以上と考えられている。
 ごく浅い谷沿いに斜面を登った先にあり、周囲はスギの人工林に囲まれ、周辺には本樹木以外のトチノキは見られない。太い幹を数条に分け長く上に伸び、樹勢旺盛で、夏季には大きな葉をつける。秋には果実をつけるが、他のトチノキと比べるとやや小ぶりであり,それも本樹木の特徴の一つである。
 トチノキは木材としては建材や家具、日常雑器に多く用いられていた。また、種子にはタンパク質が豊富に含まれており、古くは縄文時代から食用とされていた。ただし、種子にはサポニンが含まれているため、そのままでは食用とできず、複雑なアク抜きが必要である。それでも食用とされてきたのは、トチノキは凶作年が少なく、飢饉の際の重要な救荒食として重要視されていたからである。この地域では現在でもトチ餅などの形で種子が食用とされており、トチノキはこの地域での人々の暮らしと密接に関係する樹木であるといえる。
 このような背景から、「豊根の大トチノキ」は「豊根のオオトチ」としては平成20年に豊根村指定天然記念物に指定されているが、当地域におけるトチノキと人々との関わりを示すものとして県指定天然記念物にふさわしいものと考え、県指定天然記念物に指定し、保護及び活用を推進しようとするものである。

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