旧林氏庭園

分類国登録
種別名勝地関係
所在地一宮市起字下町
所有者一宮市
指定年月日R1.10.16
時代昭和初期
指定理由旧美濃路の起宿脇本陣跡に昭和初期に造られ,近代の愛知県における造園文化の発展に 寄与した意義深い事例である。
詳細解説旧林氏庭園のある旧林家住宅は、江戸時代に美濃路の宿場町として栄えた一宮市起地区に所在する。江戸時代に起宿の脇本陣であった林家は、明治24年(1891)に濃尾地震で被害を受け、屋敷が倒壊した。大正2年(1913)に主屋が再建された後、江戸時代の屋敷構えを意識した裏座敷などが増築されていった。庭園は、その後の昭和初期に、さらに10年の歳月をかけて作庭されたものである。なお、旧林家住宅主屋は、平成14年(2002)に国登録有形文化財(建造物)になっている。
庭園は、東側で街道に面する主屋に対して西側の木曽川堤防方向へ広がり、西側の主庭と、主屋北側の書斎及び裏座敷に面する坪庭とで構成される。主庭の中央部には、流れと細長い園池(心字池)が設けられる。主屋から見ると、敷地は縦方向に長く、中央奥からの流れが右へ方向を変え、左右に広がる手前の園池へつながる。庭園内の石は、各地から牛車で運び込まれたと言われており、流れと園池の護岸は石で組まれ、随所に大ぶりの鮮やかな色合いの石を交ぜる。また、飛石の園路が園内をめぐり、大きめの景石、蹲踞、石灯籠等が配されている。
植栽は、マツ類、カエデ類などの高木や、ドウダンツツジなどの低木を中心としている。カエデ類は主要な景観木となっており、秋には鮮やかな紅葉を楽しむことができ、作庭当初からあったドウダンツツジは新緑の時期に白い花を咲かせ、こちらも見どころの一つとなっている。また、平成26年度(2014)からの植栽整備で日照が改善された結果、スギゴケが地面を覆うようになっている。
このように、旧林氏庭園は、大正末から昭和初期にかけてこの地域の近代庭園文化の先駆けとして作庭されてきており、近代の愛知県における造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。

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