絹本著色楊柳観音像

分類県指定
種別絵画
所在地西尾市亀沢町 西尾市岩瀬文庫(寄託)
所有者養寿寺
指定年月日H10.2.20
時代朝鮮高麗
詳細解説一幅 縦101.0cm、横56.0cm 掛幅装
宝冠に化仏をつけた観音菩薩が、右足を左膝にのせて岩上に半跏に坐して、画面左下隅に小さく表された善財童子と対面する。観音の右傍らに、楊柳を挿した水瓶が置かれており、一般に楊柳観音の名で呼ばれている。この画題は『華厳経』入法界品における財善童子歴参のなかで、善財童子が補陀洛山を訪れて観音菩薩と対面する場面に典拠をもつが、唐代の画家周昉によって創始されたといわれる水月観音に淵源する。水月観音は五代時代の敦煌絵画にその作例があり、それらでは蓮池中の岩山に楊柳と水瓶を執る観音が大円相中に描かれており、本図もこうした水月観音と密接な関係があることが明らかとなった。それゆえ、近年では楊柳観音ではなく、水月観音の名で呼ばれるようになった。本図は様式および図像の上で、佐賀県鏡神神社本(1310)、神戸市太山寺本、京都市大徳寺本、大津市聖衆来迎図本(以上いずれも国重要文化財指定)などと同類の高麗仏画で、様式的には奈良県談山神社本や大阪府叡福寺本に比較的近く、大層装飾性に富み、よく整った観音像の姿からみて、制作年代は高麗最末期の14世紀後半とみられる。高麗仏画はその多くが日本にもたらされており、しかもその作品数は限られている。本図は華麗な作風に特徴のある高麗仏画の貴重な1作品である。

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