旧愛知県岡崎師範学校武道場

分類国登録
種別建造物
所在地岡崎市六供町
所有者国立大学法人愛知教育大学
指定年月日H25.12.24
時代大正
指定理由国道1号線の北側に位置し、学校敷地内の北側に建つ。鉄筋コンクリートや鉄骨などの新しい技術と既存である木造の技術を高い技術で融合させた建物。ゼツェッションやアール・デコの影響が見られ、意匠的にもレベルが高い。
詳細解説旧愛知県岡崎師範学校は、明治32年(1899)に愛知県第二師範学校として設立された。現在の敷地を使用するようになったのは、寄宿舎の一部が完成した明治34年(1901)からで、武道場が建設されたのは、愛知教育大学の記録では大正15年(1926)とされる。
構造は、鉄筋コンクリートの壁面を周囲に立ち上げ、その上に木造トラスの屋根をのせている。屋根は、もともと瓦葺であったが、昭和41年(1966)に亜鉛鋼板葺に変更されている。床材は松の板張りである。このような、鉄筋コンクリート造と木造の混構造となった背景には、関東大震災(大正12年、1923年)後、公共建築に耐震・耐火が求められるようになったことと武道場として大空間を確保する屋根の架構が求められたことが挙げられる。ところが、建設当時は、鉄筋コンクリート造で大きな空間を作る技術よりも、木造トラスの技術の習熟度が高かったため、屋根は木造、壁は鉄筋コンクリート造という組み合わせになったと考えられる。
外部は壁面には、柱・梁が付加されており、その直線的な構成は当時流行したゼツェッション様式を想起させる。また、柱頭や基礎に開けられた鋳鉄製換気口の蓋等に直線や三角形を用いた装飾が見られ、アール・デコの影響が見られる。さらに、外部の付け柱には雨樋を通す空間が確保されている。建設当初、屋根は瓦で葺きながら、単なる切妻でなく、南北を折った屋根の形は、和洋折衷を示している。
内部は、長方形平面の1室空間である。屋根架構は木造のトラスで上側を形成し、その下側を棒状の鋼材で引っ張っている。これにより屋根裏がすっきり見える効果が得られ、空間を大きく見せている。また、屋根トラスを支える付け柱の下部に外部と同様の三角形を用いた装飾がみられる。
旧愛知県岡崎師範学校は、昭和18年(1943)に愛知第二師範学校と名前を改める。師
範学校は昭和20年の空襲により、その施設の多くを失うが、武道場は空襲を免れ、その
後も附属中学校校舎、附属小学校集会場、附属養護学校講堂、附属特別支援学校作業実
習棟と用途を替え、多くの人に活用され、親しまれ現在に至っている。

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