旧愛知県第二尋常中学校講堂

分類国登録
種別建造物
所在地岡崎市針崎町
所有者岡崎市
指定年月日H25.3.29
時代明治
指定理由岡崎市針崎町の住宅地東側に隣接し西面して建つ。木造平屋建、瓦葺きとする。外壁はドイツ下見板張りとし、外観の意匠は左右対称を基本としており、窓の上下などの位置に配した縦材・横材が浮かび上がる構成となっている。室内は天井を格天井とし、講堂としての格式の高さを伺わせる。
詳細解説木造平屋建、寄棟造、桟瓦葺の建物で、基礎は外周部分に延石を廻した布基礎とし、そ上に土台を置いて柱を建てている。建物内部の基礎は、束石を置く。外壁はドイツ下見板張り、内壁は腰壁を板壁とし、板壁の笠木より上は木摺(きすり)漆喰塗りである。床は杉板張りである。天井は3尺(約0.9m)ピッチの格天井とし、天井高は実測値3.68mである。小屋組はクィーンポストトラスとする。正面玄関を西に開き、梁間16.4m、桁行20.3mの長方形平面を基本とし、正面玄関には車寄せが張り出している。出入口は3か所あり、西側中央に車寄せの付く正面玄関を設け、北側と東側にも出入口がある。窓は北側に6か所、南側に8か所、西側に5か所設けられている。このうち、西側の小窓を除き全て上げ下げ窓である。意匠の特徴として、外観は18世紀にアメリカで流行したジョージアンと呼ばれる木造下見板張りの様式を基本とし、19世紀アメリカで流行した木造建築の様式であるスティックスタイルが加味されている。ジョージアンは、イギリスからアメリカへの移民がもたらした木造下見板張り建物の一様式であり正面にペディメントを見せたり、シンメトリー(左右対称)を意識した外観等、西洋古典建築の部分的な特徴を取り入れたものである。スティックスタイルは、下見板を外側から付柱で抑え、窓の上下などの位置に水平材を廻しているもので、下見板を地とした場合に、それらの縦材・横材が図として浮かび上がる構成を取り、縦材・横材が棒(スティック)状に浮かび上がることからこのように呼ばれる。下見板張り建物は、明治政府が北海道の開発のため、アメリカから招いた技術顧問団によって北海道に流入し、その後全国に広がった。この下見板張り建物は下見板コロニアル建築とよばれる。いっぽう、玄関車寄せの天井には菱組天井が施されている。これはベランダコロニアル建築の典型的な特徴である。この本来は共存しない建築が「西洋の建物」のイメージを象徴するものとして同時に採用されていることは、日本建築史上の特徴が現れていることを示す。内観は天井や独立柱に白ペンキが施されるなど、基本的に西洋建築の手法がとられているが、天井が格天井であることや、独立柱と格天井の間の柱頭飾りが社寺建築の組物である大斗の意匠とするなど日本の伝統的な特徴も見られ、西洋建築と日本建築のそれぞれの意匠が混在している。

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