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名古屋陶磁器会館

分類国登録
種別建造物
所在地名古屋市東区徳川
所有者財団法人名古屋陶磁器会館
指定年月日H20.10.23
時代昭和前
指定理由名古屋城の約2km東方に位置する事務所建築。間口24mの鉄筋コンクリート造で、3階を鉄骨造で増築した。外装スクラッチタイル貼で、幾何学的なモチーフを随所にあしらう。名古屋における陶磁器業発展のシンボルとして親しまれている。
詳細解説名古屋陶磁器会館は、名古屋城の東方約2kmに位置し、歴史的建造物の残る「文化のみち」散策ルートに面している。この地域は、江戸時代には中・下級武士の屋敷が連なり、明治から昭和初期には、近代産業の担い手である起業家、宗教家、ジャーナリストなど様々な人が去来し、交流する舞台であった。現在は、この歴史性と建築様式が市民に親しまれ、名古屋の観光拠点の一つとなっている。
建物は、名古屋陶磁器貿易商工同業組合によって建設された組合会館であり、昭和7年(1932)11月竣工、四間幅の狭い道路に北面して建つ。鉄筋コンクリート造3階建で、1階は、中央やや右寄りに玄関を付け、中央に会議室、左右に大小の事務室を2室、応接室、8畳和座敷2室、玄関・取次、台所・便所を配しており、南側にベランダを付けている。2階は、大広間で正面にステージを付けており、階段室の左右に応接室と娯楽室を配している。3階は、塔屋で、商品陳列室にしており、昭和21年(1946)には鉄骨造の建屋を増築している。現在、1階は、組合が展示室や事務室として使用し、2・3階は貸事務所となっている。
建物の特徴は、1階事務室の大きな半円窓、軒下の装飾帯、縦横の線による装飾的構成、櫛引スクラッチタイル張り、全体が彫塑的造形で、表現主義的建築となっている。この他、玄関入口のステンドグラスや階段室のモザイクタイル、サッシ、照明器具、建築金物などは当時のまま残されている。
設計者は、鈴木禎次(すずきていじ)の門下で、後に名城大学建設工学部創設に関わった鷹栖一英(たかのすいちえい)(1888~1969:名古屋高等工業学校教授)である。米国留学の経験から、その意匠を古典的でなく、曲線を大胆に、量感を豊かに示し、ドイツ表現派の建築に近づけている。この建築意匠は、名古屋市公会堂(昭和5年(1930))、旧愛知県労政事務所(愛知県庁大津橋分室)(昭和8年(1933))にもみられ、名古屋の表現主義建築の代表例である。

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