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明治村芝川家住宅主屋

分類国登録
種別建造物
所在地犬山市内山
所有者財団法人明治村
指定年月日39514
時代明治
指定理由博物館明治村内の高台に建つ。建築面積165㎡、木造2階建、瓦葺。1階は開放的なヴェランダにボウウィンドウを開くなど洋風とするが、2階は対照的に和風としつつ、両者を破綻なくまとめている。武田五一設計になる和洋意匠を折衷した住宅の好例。
詳細解説芝川家は幕末頃から舶来品を扱う唐物商を営み、明治に入ると唐物の他に両替商を始めるなど事業を拡大していった。今日の芝川家の祖となる人物である芝川又平(初代芝川又右衛門)は、明治17年(1884)に当時甲東村と呼ばれていた西宮市甲東園の地所を購入、二代目芝川又右衛門は明治29年(1896)にこの地に果樹園を開いた。芝川家住宅主屋は明治44年(1911)にこの果樹園内の敷地に二代目又右衛門により別荘として建てられたものである。
平成7年(1995)の阪神淡路大震災で被災し解体を余儀なくされ、同年博物館明治村に寄贈された。平成17年(2005)博物館明治村開村40周年記念として復原事業を起こし、平成19年(2007)竣工、同年9月22日より展示公開が始まった。設計者はアールヌーボー様式をいち早く日本に紹介した建築家として知られる武田五一である。この建物の創建当初の外観は、木造2階建、瓦葺、外壁は杉皮張で仕上げられていたことが古写真より判明している。一方『武田博士作品集』(昭和8(1933))に掲載されている写真を見る限り、外観はモルタル風の仕上げである。建物全体のプロポーション、上げ下げ窓や2階和室出窓の柱間装置、建物正面と背面に付く煙突等のデザインから武田五一がヨーロッパで影響を受けたセセッションの印象が見られるが、内部は1階客室・食堂をはじめ、網代や葦簾といった数寄屋建築における伝統技法を駆使するなど、洋と和が融合した空間となっている。

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