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春江院茶室

分類国登録
種別建造物
所在地名古屋市緑区大高町
所有者宗教法人春江院
指定年月日H17.7.12
時代明治
指定理由書院の西にあり、尾州久田流茶道の開祖である下村實栗の作になる草庵風茶室。床を入れて4畳ほどと小規模だが、杉皮葺屋根は格子状に組んだ竹で押さえ、格子だけでなく、棹縁天井の棹や化粧屋根裏の垂木や木舞を竹とするなど、竹を多用した独特の構成になる。
詳細解説春江院書院の西にある西行庵(さいぎょうあん)の作になる草庵風茶室は、明治時代後期に建てたと伝わる。西行庵は本名を下村實栗(みつよし)といい、久田流の流れを汲み明治時代後期から大正時代にかけて活躍した人物である。西行庵の後裔が戦後に創設された尾州久田流の家元となる。
大屋根は桟瓦葺の切妻で、明り取りがある庇が付属する。庇は杉皮葺で格子状に組んだ竹で押さえられており、捨柱(すてばしら)がある土庇(つびさし)となっている。内部は四畳ほどと小規模の中に二畳台目(だいめ)の席や床や水屋など配している。点前座(てまえざ)は中柱を建て向切(むこうぎり)の炉として、珍しい三重棚を釣っている。床は下座(げざ)に位置して台目床である。床に対面して躙口(にじりぐち)を設け、矩折(かねおり)を貴人口としている。竹は杉皮押さえの格子だけでなく、床前の天井の棹や化粧屋根裏の垂木(たるき)や木舞などに多用されている。畳の大きさは幅が3尺1寸5分(955mm)で、長さが6尺3寸(1910mm)の京間となっている。茶室は、庫裏に付属して庫裏(くり)から出入りができるため独立していない。(神谷昇司)

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