旧川上貞奴邸蔵

分類国登録
種別建造物
所在地名古屋市東区橦木町
所有者名古屋市
指定年月日H17.2.9
時代大正
指定理由主屋背後に独立して建つ。外壁鉄筋コンクリート造、内部木造、2階建、切妻造、桟瓦葺で、小屋組はキングポストトラスで、戸前に庇を付設する。小規模ながらたちが高く、外壁腰部を一段厚くし大きめの鉢巻を廻らした重厚な外観で、屋敷構えに欠かせない建物。
詳細解説電力王と称された福沢桃介と女優・川上貞奴が住むために、大正9年(1920)頃、あめりか屋に造らせた邸宅。赤瓦の大屋根をのせた2階建洋館で、木造及び鉄筋コンクリート造。豪壮な邸宅であるところから、町名をとって、「二葉御殿」とも呼ばれた。
日本最初の女優といわれる川上貞奴は、夫の川上音二郎の死後、来名し、川上絹布(株)を設立。一方の福沢桃介は、大正初期に名古屋電灯(株)の取締役となった。その後、名古屋で大同電力や東邦電力を設立するとともに、木曽川水系の電力開発を推進した。福沢桃介が引退した大正15年(1926)ころまで住んだ。その後、貞奴は名古屋と東京を行き来したといわれる。
昭和12年(1937)頃、敷地が分割され、邸宅も東西に分断された。西側は川﨑舎恒三が所有し、西端に玄関を加えるなどの増改築がなされた。戦後の昭和32年(1957)、大同製鋼(株)の所有となり、大同特殊鋼二葉荘として使用された。近年、名古屋市に寄付され、現在地に方位を変えて、移築復元された。「文化のみち二葉館」として、平成17年(2005)3月に開館。部屋名は改変されているが、見学可能。
現在、蔵は主屋の東側にある。主屋と同じ、大正9年(1920年)頃に建築された。外壁は鉄筋コンクリート造で、内部は木造、2階建。桟瓦葺、切妻造、小屋組は山形トラスの中央に垂直材があるキングポストトラス。蔵前に軒下空間を確保するための庇をもつ。(瀬口哲夫)

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