岡崎ゲンジボタル発生地

分類国指定
種別天然記念物(動)
所在地岡崎市
所有者岡崎市
指定年月日S10.12.24 (S47.8.25追加)
詳細解説日本産ホタル科のうちで光るのは、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種であるが、愛知県ではゲンジボタルとヘイケボタルの2種とされていたが、近年ヒメボタルも確認されている。
ゲンジボタル成虫の体長は雄約16mm、雌約18mm。体色は黒色で、前胸背は淡赤色で黒い十字形の紋がある。雄で第6および7腹節に、雌で第6節に淡黄色の発光器がある。幼虫は、ふ化時で約2mm、終齢幼虫で20~30mm。黒褐色で腹節に鰓器官がある。幼虫にも尾端に発光器がある。成虫は5月~6月にかけて発生する。雌は交尾後に河岸のコケなどに500個前後の卵を産む。卵は約30日でふ化し、幼虫は水中に入り、カワニナなどの巻貝を捕食して成長する。幼虫期は10ヶ月~2年程、蛹期間は約50日。本州・四国・九州に分布する。(島谷幸宏他監修「川の生物図典」参照)
『岡崎市美合町生田を流れる竜泉寺川・山綱川および乙川(いずれも矢作川の支流)の一帯は、古くから「生田蛍」と呼ばれるゲンジボタルの多産地として親しまれてきた。しかし、ここでも周辺の都市開発や河川改修や工場汚水の流入、また昭和34年(1959)の伊勢湾台風による河岸・河床の荒廃と農薬の多使用などにより、生息環境が破壊され、減少の一途をたどったが、昭和41年より、地元の河合中学校、生平(おいだいら)・秦梨(はたなし)・美合小学校で幼虫の人工増殖にとりくみ、毎年3万匹の幼虫を放流するまでになった。昭和47年に、岡崎市と額田町との境界までの河川敷が天然記念物に追加指定を受け、美合保存会・河合保存会・岡崎蛍研究会・地元の小中学校の協力のもとに、熱心な保護活動を展開して今日に至っている。昭和58年より額田町も町指定で保護にのりだし、昭和60年より地元の鳥川小学校が人工増殖活動を推進し、乙川水系全域の保護体制ができ、毎年30万匹をこす飛翔が見られる。』(加藤陸奥雄他監修「日本の天然記念物」原文ママ抜粋)。ホタル保全活動の中には、別地域のホタル幼虫や餌としてのカワニナの放流を伴うものがあり、地元産を増やすように慎重にする必要がある。
【参考文献】
 加藤陸奥雄他監修(1995年)「日本の天然記念物」講談社
 島谷幸宏他監修(1996年)「川の生物図典」山海堂

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