須成祭の車楽船行事と神葭流し

分類国指定
種別無形民俗
所在地海部郡蟹江町須成 冨吉建速神社八剱社
所有者須成文化財保護委員会
指定年月日H24.3.8
詳細解説須成祭は、海部郡蟹江町須成に所在する冨吉建速神社・八剱社の例祭で、疫病退散を祈願する天王信仰に由来する祭である。華やかな車楽船の出る行事と、災厄を植物の葭に託して川に流す神葭流しの二つの行事を中心に祭が構成されている。
車楽船行事には宵祭と朝祭がある。かつては旧暦6月17日が宵祭、翌18日が朝祭だったが、現在は8月第1土曜日に宵祭、翌日曜日に朝祭が行われる。宵祭では多くの提灯をつけた巻藁舟が、翌日の朝祭では諾册二尊もしくは高砂人形といわれる男女二体の人形や花飾りを設けた車楽船が、稚児の奏する囃子とともに蟹江川を上る。
神葭神事は、川に茂る葭を刈り、これをご神体として祀り、災厄を封じ込めて川へ流し、人々の豊かな生活を祈願するために行われる。朝祭の1週間前に「葭刈」があり、白装束に身を包んだ若衆が舟で蟹江川を河口まで下って、川に茂る葭を刈ってくる。その葭がご神体として神社に祀られ、朝祭の翌日早朝に蟹江川に流されるのが「神葭流し」である。
かつては実際に流し、流れ着いた所で75日間祀ったというが、現在は1週間川の中に固定しておく。その後、「棚上り」で神社境内に作った棚に祀り、70日後の「棚下し」で棚から下ろして燃やし、須成祭すべての祭事が終了する。 天王信仰にちなむ伝承が広くみられる愛知県下において、風流的に発達した車楽船の出る優雅な船祭りと、葭に対する古い信仰を伝える神葭流しの二つの要素を伝えているともに、別名「百日祭り」ともいわれるように、種々の儀礼や行事が長期にわたって厳格に執り行われていることは貴重である。

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