紙本墨画淡彩四季山水図〈六曲屏風〉

分類国指定
種別絵画
所在地名古屋市瑞穂区瑞穂通 名古屋市博物館(寄託)
所有者東本願寺別院
指定年月日H3.6.21
時代室町
詳細解説六曲一双 各162,4×343,0cm
両隻外側に屹立する山を置き、中央部を水景でひろくあける構図である。また、右端から春、夏、秋、冬の左端で終わる四季が表現されている。 右隻右端崖の前の渓流を渡り終わった騎乗の高士主従が左に向かう場面から始まり、鑑賞者の視線を右から左へと進めようと計画されている。次に畔に白梅の花が咲く湖に面して建つ楼閣の露台に高士3人が立ち左前方遥かな水面をみる。湖水には鳥が飛び、漁をする船が往来する。湖水には島が浮かび奥には遠い山並みがすかに見える。季節は夏から秋にかけて進み、左隻第3扇の中空には月が掛る。その下の岸には船が止まり、その左後ろからは雪山が続く。その雪景色の中にまだ窓の空いている家に向かい旅人が左から右へと進んでいて、鑑賞者の視線が閉じられる。本図中には 遠寺晩鐘、山市晴嵐、瀟湘夜雨、遠浦帰帆、平沙落雁、洞庭秋月、漁村夕照、江天暮雪の瀟湘八景の要素を示すモチーフが各処に散りばめられていて、季節を構成している。また、図中の山・樹木・楼閣のモチーフ形態やその組み合わせ方にも室町期の四季山水図様式の定型が残るが、峻厳さよりも説明的な謹直な描写態度が感じられる作品である。

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