絹本著色親鸞上人絵伝

分類国指定
種別絵画
所在地岡崎市大和町
所有者妙源寺
指定年月日T7.4.8
時代鎌倉
詳細解説三幅 縦123㎝、横23.8㎝
浄土真宗の開祖、親鸞(1173~1262)の一代期を描いた親鸞聖人絵伝であり、妙源寺に伝来する本作は、掛幅の親鸞絵伝のうちでも最古の部類に入る。画絹の欠損や全体的な擦れが目立つが、堅実な筆致や、樹木・山岳などの景観表現から判断して、鎌倉時代を下らないものと思われる。妙源寺は親鸞による柳堂説法伝承をもつ西三河地方の真宗の一大拠点で、本作の他にも、善光寺如来絵伝、聖徳太子絵伝(現奈良国立博物館所蔵)、法然上人絵伝といった、中世掛幅絵伝(いずれも三幅対)が伝来している。これらを受容し、描かれた内容を理解することで、門徒らは自らが崇拝する本尊の縁起や祖師の生涯を理解し、宗教的な帰属意識を高めていったのである。本作は、上記の初稿本「伝絵」十三段本に基づき、計二十三場面で構成され、下から上へと事蹟が展開している。第一幅は、親鸞の出家剃髪の場面から始まり、吉水禅房への入室、六角夢想(聖徳太子との邂逅)、選択本願念仏集の相伝、信行両座までが描かれる。第二幅は、承元の法難前夜のエピソードが収録され、念仏停止をめぐる内裏の騒動や、流配先の越後国府や、稲田草庵などの関東の旧跡における親鸞の様子が描かれる。最後の第三幅は、板敷山での山伏改心出家譚、箱根権現の使いとの出会い、平太郎の熊野社誠証殿参詣の説話、そして親鸞入滅から、火葬、大谷廟堂建立が展開している。基本的に、初稿本の系譜にある高田本・琳阿本の図様を継承しているが、六角堂内に、救世観音と親鸞しか描かれなかったり、最終場面の大谷廟堂が閉ざされていたりするなど、独自の表現がなされている。また、後世に、本作品の影響を受けて制作された三幅対の親鸞聖人絵伝が、豊田市如意寺、岡崎市願照寺にも伝来している。

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