旧額田郡公会堂及物産陳列所〈旧額田郡公会堂 附(門柱1所/棟札1枚/銘札1枚)/旧額田郡物産陳列所)

分類国指定
種別建造物
所在地岡崎市朝日町
所有者岡崎市
指定年月日H11.12.1
時代大正2
詳細解説額田郡公会堂は、大正2年(1913)8月の竣工で、大正5年に岡崎市公会堂となり、昭和44年(1969)から岡崎市郷土館とされている。額田郡物産陳列所は、旧公会堂の北側に同じ年に完成したもので、現在地に移築されて現在は岡崎市郷土館の収蔵庫とされている。設計監督者は、鳥取県工手として明治40年完成の仁風閣(国重文)の建設工事にも携わった愛知県土木技手、吉田榮蔵である。
旧公会堂は木造平屋建で北を正面にして建つ木造平屋建、桟瓦葺の建物である。主屋部分は、講堂(現展示室)を中心に、前面中央に玄関、東西両翼に控室を突出させるE字型の平面で、両翼前面妻壁にぺディメント(妻壁飾)、中央玄関正面には櫛形ぺディメントを戴く左右対称な外観を採用する。主屋東端には脇玄関と管理諸室、さらに東に便所棟が取り付く。外壁は、軒下を漆喰塗、窓上端より下を竪板張、腰を横板張としてフレームで枠取る。屋根は桟瓦葺、講堂部分主屋の小屋組は変形の洋小屋構造で棟の頂部を鉄板葺とした腰折屋根として棟飾金物を巡らせる。内部では講堂西端に設けられた演壇背後の壁面に造り出された2本の円柱と楕円アーチ、小壁の花房飾りに左官の技の冴えを見せる。
旧物産陳列所は、木造平屋建、桟瓦葺の建物である。正面両翼をわずかに突き出したコの字型の平面で、外壁、軒廻の構成などは公会堂に類似するが、屋根は切妻造で、屋根妻面の軒を大きく持ち出し、妻壁を半円アーチと持送りで飾り、壁には四葉状の採光窓を開けるなど、より華やかな構成となっている。
近代に入り、集会や催事の会場として全国で公会堂が建設された。旧額田郡公会堂および物産陳列所は規模的に大きくはないが、わが国における最初期の郡単位の公会堂・物産陳列所建築がそろう点で貴重である。また古典的な構成や意匠に、洋風建築の地方への伝播と洋風意匠の多様性を示した遺構として注目される。(溝口正人)

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