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06-03-05. 昔ばなしの広場 祐天様のくぐり穴

資料ID226
名前(漢字)ムカシバナシノヒロバ ユウテンサマノクグリアナ
名前(英語)Hole to go dive of Yuten-temle, a square for the folklore
テーマみどりの散歩道コース
コース06.区役所・美術館コース
コンテンツ03.祐天寺
資料紹介それは桜の花の散りはじめる頃でした。私の誕生日の朝、お母ちゃんは私に赤い袖なしの〝おひふ〟というのを着せてくれました。私はその花模様がとても気にいりました。
「祐天様におまいりに行こう。明子の五才の誕生日だからね」
ばあちゃんが「病気をしないようにお願いしてくるんだよ」といいました。
祐天寺さんの山門をくぐると、桜の花びらがヒラヒラと舞うように私の頭にのりました。
手を合わせて仏様を拝んでから、お墓の方に入りました。すぐそばに高い宝塔がありました。その前に大きい線香立てがあって、その下におおきな丸い穴があいているのです。
「明子、このお穴をくぐるんだよ」
「新しいおひふがよごれるよ」
「よごれてもいいから」
「どうやってくぐるの?」
「頭を出してそれから片足いれるの」
私はこんな小さい穴通りぬけられるかと思いましたがやってみました。ちょっと手をつきましたけど上手にぬけら れました。見ていた人が皆手をたたいて「おめでとう」と言ってくれました。
「ありがとうございます」と母ちゃん。
「何がおめでたいの?」
「この石はね、祐天様が小さなこどもが元気で育つようにと作って下さったものでね。この世の病気や災難を穴のこっち側におきすてて、幸せな世の中に暮らせるという言い伝えがあるんだよ」
私は何だかうれしく思いました。
        *
穴をくぐるというのは別の世界に再生するという意味がありました。物語でも、おむずびころりんやこぶとりじいさんなどは、木の洞穴などをぬけて他世界を体験したお話です。祐天様のくぐり穴も幸せな世界へのいざないだったかもしれません。
データ利用条件教育目的での使用については、権利所有者の許可は必要ありません。
コース紹介https://jmapps.ne.jp/9093/det.html?data_id=213
コンテンツ紹介https://jmapps.ne.jp/9093/det.html?data_id=215

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