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06-05-02. 昔ばなしの広場 庚申様の講

資料ID233
名前(読み)ムカシバナシノヒロバ コウシンサマノコウ
名前(英語)Kushin-sama's lecture, a square for the folklore
テーマみどりの散歩道コース
コース06.区役所・美術館コース
コンテンツ05.庚申のみち
資料紹介「今夜は多治平の家だったな」
「ひとふろ浴びてから行くべぇ」
与古と清の二人は辻の庚申様に手を合わせて右と左に分かれました。その日は「庚申さー」の日で、おおっぴらに呑んでさわげる農民のレクリエーションの夜でした。
六十日目にまわってくる庚申(カノエサル)の日の夜、人間の腹の中に住んでいる三尸(サンシ)の虫が、寝ている間に天にのぼってその人間の罪状を天帝につげるのです。天帝が大きな帳面に罪状を書きこんでその人間の寿命をきめるとか。
だからこの日は寝られないのです。
「お晩です」
とみんな多治平の家に集ってきます。床の間がわりの壁に庚申様の掛軸がかかり、一升びんが二本と、お米、するめ等が供えられています。集った皆は掛軸に長い時間「おまいり」をするのです。多治平のかあちゃんや手伝いにきた人たちが長いテーブルの上に御馳走を運んできました。
「さあ、やってくれや」
テーブルの上にはさといも・こんにゃく・大根の煮ころがしが主役で、季節の山菜や筍も出ることがあります。
「おれは大丈夫だ。この六十日間何も悪いことはしないぞ」
「うそこけ。この間お地蔵様に上ったボタ餅、まだ温いのに食ったべぇ」
「ハハハ……バレたか」
「おめえも庚申様に小便かけたでねえか」
「それでも皆大病もなく、よかったな」
「そうだ、そうだ」
「この里芋誰が煮ただ、うめえなあ」
「ここの娘のお糸ちゃんだよ、きっと」
「ワハハ、よく味わっとけ……」
「さあ、呑め、呑め」
宴会は日が昇るまでつづきます。おっかあや娘は一度も姿を見せません。男だけの講だったのです。
データ利用条件教育目的での使用については、権利所有者の許可は必要ありません。
コース紹介https://jmapps.ne.jp/9093/det.html?data_id=213
コンテンツ紹介https://jmapps.ne.jp/9093/det.html?data_id=231

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