内なる光の聖女

制作年1921
制作者パウル・クレー Paul KLEE
C.no1295
購入・寄贈年月1990/3/1
材質・技法紙・リトグラフ
寸法1:height30.8
寸法1:width17.4
Work TitleDie Heilige vom innern Licht
作品解説つり上がった目と口、乱れた髪の毛に裸の上半身・・・とうてい聖女とは思えない姿をしています。ては、この女性が聖女だとわかる手がかりを探してみましょう。顔の輪郭線を見ると、円の中に両頬の線が直線で描かれています。この外側の円は、中世よりキリスト教美術で聖人を示す際の約束事として頭の後ろに描かれる光輪(halo)を思わせます。また、クレーはバウハウスに着任する直前の誕生日に妻から日本の仏教彫刻の本を贈られており、もしかすると日本の仏像の持っ凛とした思索的な表情を参考にしたのかもしれません。クレーの作品には、ユーモアやメルヘン的な要素とともに皮肉や諷刺が隠されていることが多々あります。彼とっての芸術とは、聖と俗、美と醜、善と悪といった対極にあるもの繋ぎ、「見えないものを見えるようにする」ものだったことよく示す作例です。
(『TAD 富山県美術館 Selected Works from the Collection』p.25)

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