つみかさね

所蔵番号TR2205a
作品名つみかさね
作者田中里佳
主題課題「ごみと環境問題:ゴミの歴史」
解説本作は「ゴミの歴史」をテーマに制作された作品である。本文は「涓涓塞がざれば終に江河となり塵も積れば山となる」と書いており、この言葉は孔子家語と大智度論からとった言葉を組み合わせて漢字仮名交じりで制作されている。力強い直線的な線の中に平仮名は小ぶりに書きながら横の文字とのバランスが良く、全体的にすっきりとした書体で言葉の重みが伝わってくる。二行目上部の「河」が綺麗な渇筆で作品に明るさをもたらす効果があり、構成に配慮された作品と見受ける。作中の二語は「小さなことを積み重ねれば大成する」といったような意味として用いられる事が多いが、「塵も積もれば山となる」は元々悪行を積み重ねると抜けられなくなってしまうという意味だ。産業革命以降世界は個包装の物や使い捨てなど、便利になる反面で大量のゴミを出した。そして世界は今、ゴミ処理が世界問題へと発展している。私たちの生活のあり方を少し意識するだけでゴミは減る。小さなことかもしれないが、継続する事が大切で最終的には大きな環境問題解決へと導ける、その心でこの二語を作者は選び、ゴミの歴史と重ね制作したと考察ができる。
寸法縦116cm×横 53cm
展示場所収蔵庫
制作年代2022年5月

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