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チロル、カルテルンの故テレーゼ・メルル

作品番号OFZ0030000
作品名ヨミチロル、カルテルンノコテレーゼ・メルル
作品名原文Die sel. Therese Morl von Kaltern i. Tirol
寸法 cm67.8×55.8
作家ガブリエル・フォン・マックス
技法・材質油彩、カンヴァス
形状額装
作品解説洋画家原田直次郎の師として知られるガブリエル・フォン・マックスは、森鷗外のミュンヘン時代の下宿の隣に住んでいた。鷗外はマックスのアトリエを訪ねて制作を見学していたようで、帰国後の絵画論にはマックスの名がしばしば登場する。
プラハに生まれたマックスは、プラハ、ウィーン、ミュンヘンのアカデミーで学んだ後、1879年から83年までミュンヘンのアカデミー教授を務め、歴史画の指導を行なった。主に神話や聖書、文学作品に取材した作品を手がけたが、自宅に飼っていた猿を擬人化した風刺的な作品も知られている。
 この作品は、プラハで開催されたベーメン芸術家協会の年次展覧会に出品されたもの。テレーゼ・メルルはチロル地方の女性で、聖痕(キリストが処刑された時の傷が体にあらわれる現象)があったとされ、この作品が描かれた1868年に亡くなった。暗い部屋に灯る蝋燭が神秘的な雰囲気を生み出し、荒い筆致で描かれた白い布が、まさに今、神の花嫁となった女性の、血の気の失せた顔を荘厳している。
聖痕を受けた女性信者という主題は、ノイエ・ピナコテーク(ミュンヘン)所蔵《聖女カタリーナ・エメリッヒの法悦》(1885)でも描かれており、オカルティズムに傾倒していたマックスの、超常現象への関心の深さがうかがえる。

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