東海道五十三次之内宮桑名間・名古や山三

分類美術工芸
縦(cm)34.00
横(cm)24.60
時代江戸 (嘉永五年製作)
西暦1852
作者三代歌川豊国
解説 この作品は、桑名城下の七里の渡しを背景に、歌舞伎十八番「鞘当」で知られる名古屋山三郎を描いたものです。「鞘当」は寛文・延宝(1661~81)のころ、江戸で土佐少掾橘正勝が上演した「名古屋山三郎」という当たり狂言が、その後の浄瑠璃や歌舞伎に大きな影響を与えていく過程で生まれた作品であり、「名古屋山三郎」の物語の見せ場のひとつを取り上げたものです。その見せ場とは、山三郎と敵役の不破伴左衛門が、島原の廓でかち合い、喧嘩に及ぶ場面です。
 この物語は、かなりの人気があったらしく、菱川師宣や奥村政信の浮世絵や絵巻などにも描かれるほどでした。ところで、「名古屋山三郎」の舞台は京都であり、七里の渡しは全く関係がありません。にもかかわらず、このような組み合わせが成立するのは、ひとえに名古屋という唯一共通する地名があるからで、こじつけ以外の何物でもありません。これが一枚刷として流通するところに、当時の庶民感覚のおもしろさがあります。

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