| 略歴・解説 | ポール堀内は1906年山梨県河口湖町に生まれた。1921年、ワイオミング州ロックスプリングスに移り住み、1928年にはアメリカ国籍を取得した。第二次世界大戦後、1946年にワシントン州のシアトルに居を移し、以後その地で制作を続けた。堀内は抽象表現主義の画家マーク・トビーと生涯にわたる交友関係を持ち、強い影響を受けた。シアトル移住後、アートコンペティションでいくつも賞を受賞するようになり、1948年、シアトル美術館の第34回ノースウエストアニュアルに選抜され、1958年には、彼の最初の個展がシアトル美術館で開催されるなど、画家としての地位を確かなものにしていく。1954年、堀内の作品に転機が訪れる。シアトルのチャイナタウンの壁に貼ってあった漢字の書かれた破れかけのポスターを見た後、堀内は破れた和紙を顔料で染めつける実験を始め、最初のコラージュを試み、独創的な画面構成を始めた。その後、彼の作品のほとんどがコラージュ技法を用いた抽象作品となった。日本では色紙が詩人や書家によって破かれ、書画を美的に構成するように貼りつけられるが、そうした日本の伝統が日本的な静的寡囲気に満ちた堀内のコラージュ作品を生み出すもとにある。 |