| 略歴・解説 | イギリス、ヨークシャーのカッスルフォードに炭坑夫の子として生まれる。師範学校に入学、教員となったが、第一次世界大戦に従軍して負傷、除隊後かねてよりの念願であった彫刻の道へ進み、リーズ美術学校へ入学した。ロンドン王立美術学校の奨学金をうけ、1924年より同校の講師となる。大英博物館で観た、原始、未開文化の彫刻に感動、これらを通じ単純で活力に満ちた形体を研究、フランスやイタリアを旅行し、1932年チェルシー美術学校の彫刻主任に迎えられた。1939年のロンドンでの国際シュルレアリスト展ではイギリスの代表作家に選ばれる。その間、独自な作風を求めて試みを続け、1930年代にはシュルレアリスム作家の影響下に抽象作品を、第二次大戦末には具象作品を、そして戦後は独自の人体象をとり作風を変えてきた。しかし作風に一貫して共通するものは単純で原始的な形体をもって、内面からのいわゆる内なる形を表現することであり、ムーア自身の「有機的構成」の主張に従い、作品は常に堂々たる量感と堅牢性に溢れている。素描やリトグラフ作品にも優れたものが多く、第二次大戦中従軍画家として活躍したさいのロンドン地下壕の素描群は有名である。 |