芭蕉涅槃図_全体

芭蕉涅槃図

時代江戸時代
世紀19
数量1幅
素材紙本著色
解説芭蕉の没後50年を過ぎたころから芭蕉顕彰が盛んになり、次第に多くの人々が蕉風回帰、蕉風復古を目指すようになります。そんな中で芭蕉の神聖化がすすみ、神格が付与され、俳諧道の本尊のように崇拝されるようになりました。釈迦の臨終を描く仏涅槃図になぞらえた芭蕉涅槃図はそれを象徴するものと言えます。こうした「見立て」は江戸時代に浮世絵などで見られた趣向です。
 芭蕉は右腕を枕に横たわり、枕元に茂る芭蕉の葉には持物の笠と杖がかけられ、周囲に多くの弟子や動物たちが集まってきてその死を悼んでいます。この動物たちは芭蕉が詠んだ句にちなむとされ、右端の猿は小さな蓑を持っています。また仏涅槃図は満月が描かれますが、この図は細い三日月のようです。主線は金を含んだような薄墨で描き、淡く彩色されています。弟子たちの名前が金色の文字で書きこまれているところも特徴的です。
 作者の文石についての詳細は不明ですが、熱心な俳人の注文に応じて描いたものかと想像されます。これとほぼ同じ図が桜井梅室筆として別に存在しており(『別冊太陽№37 芭蕉 漂泊の詩人』1981年 平凡社)、同一人物の手になるものか、あるいは精密に写し取ったものか、こうした芭蕉涅槃図の制作事情も併せて興味深い点です。
受入年度平成17年
所蔵館敦賀市立博物館
大分類文芸
中分類俳諧
小分類近世絵画
資料No.0372

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