『恩讐の彼方に 他三篇』

大分類図書
中分類図書
作者菊池寛
解説 大正10(1921)年8月25日、春陽堂刊行。「恩讐の彼方に」は、大正8(1919)年1月『中央公論』に発表されました。のちに「敵討以上」と改題し、自身で脚本化しています。大分県にある耶馬渓に伝わる逸話を元につくられたこの作品は、人間が恩讐を超えるという菊池らしいヒューマニズムが描かれており、まさに菊池の代表作の一つと言えます。
 こうした歴史的題材を扱うことについて、菊池は「凡そ歴史的伝説的題材は、天下の公有なり。いな古今を通じて、文藝に志すものゝ共有なり。(中略)作家の人生観、思想、感情及びその題材を駆使する作家の表現が、芸術の本体とは知らずや」(『早稲田文学』大正9年1月号)と語っています。

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