楽園に死す

TitleDeath in Paradise
作家/ Artist池田満寿夫 IKEDA Masuo
制作年昭和40年
Date1965
寸法/ Size(cm)39.5×36.5
技法・材質ドライポイント、ルーレット、エッチング・紙
MediumDrypoint and roulette and etching on paper
分類版画
ClassificationPrints
作品番号/ Accession NumberPRZ0879000
作品解説構成された色面に押しつぶされるがごとく、目を失い、頭をかかえ、うつぶせに横たわる女性。「死」を象徴する構図であるが、この人物の置かれている状況とは無関係な猫やロゴマーク、女性の着ている派手な服の柄などがポップで装飾的であり、悲惨な空気をほとんど感じさせない。むしろこの違和感のある存在の同化こそが見る者にこの作品を強く印象づけている。ベトナム戦争下にあった世相を反映したもので、身近なところとは無関係に流れていく悲惨なニュースと日常とを表現しているが、池田の得意としたドライポイントのにじみが加わった線が人物を浮き立たせ、象徴化し、下辺に比重が偏った画面を引き締めてもいる。
油彩画からスタートした池田満寿夫は、団体展や既存の権威に受容されない不遇をかこっていたが、前衛画家、瑛九の勧めで色彩銅版画を始め、1966(昭和41)年、本作を含む銅版画28点において、版画界の最高峰ともいえるヴェネツィア・ビエンナーレ展(第33回)において版画大賞を受賞し、一躍脚光を浴びた。また小説家、映画監督、陶芸家など多方面で活躍し、マルチな才能も開花させた。

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