略歴・解説 | 川俣正は1953年(昭和33)北海道生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科卒業後、同大大学院博士課程満期退学。1982年(昭和57)にベネチアビエンナーレに参加して以来、世界を舞台に活躍する川俣の作風は「製作プロセスそのもの」も作品であるということである。川俣の手がける大がかりなプロジェクトではアパートや公共空間に材木を張り巡らし、空間そのもののとらえ方を作品として見せているが、そこでは観客の動きまでもが作品のプロセスとなる。プロジェクトを実施するために作られる模型や平面レリーフもそうした意味でプランではなく一つ一つがそこに至るプロセスを抱えた作品だと言える。1984年(昭和59)には代官山のヒルサイドテラスの外壁と屋上に材木を張り巡らせるプロジェクト「工事中」を実施。その後、2017年(平成29)に当時の様子を再構成した「『工事中』再開」(アートフロントギャラリー、東京)を行った。近年の主な個展に「Under the Water」(ポンピドゥー・センター・メッス、2016)など。2013年(平成25)、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。横浜トリエンナーレ2005では総合ディレクターを務めている。
代表的なコレクションの収蔵先として、東京国立近代美術館、国立国際美術館、豊田市美術館、高松市美術館、目黒区美術館、ボストン美術館(米国)などがある。 |