和辻哲郎全集

資料名(ヨミ)ワツジテツロウ ゼンシュウ
編著者和辻哲郎∥著
巻次第 5巻
発行日1962/03/01
出版者岩波書店
出版地東京
版表示[初版]
関連人物和辻 哲郎
資料コード24837
目次<原始仏教の実践哲学>
序言
凡例
[序論 根本資料の取り扱い方について]
(一)根本資料の取り扱い方法を反省する必要
(二)オルデンベルクの原典批評の方法とこれに対する批評-リス・デヴィズの方法とこれに対する批評
(三)漢パ対照研究の意義
(四)原典批評をただ原典自身にのみ基づいて試みる方法-フランケの長部ニカーヤの研究とその批評
(五)宇井氏の原始仏教資料論とその批評
(六) 経律の作品としての性質の考究[第一 律蔵の考察 律の受戒篇の発達段階 波羅提木叉の発達段、戒の順序による考察 戒の内容による考察 結論]
(七)[第二 経蔵の考察 代表作としての大般涅槃経の分析研究 涅槃経の分析より得たる視点の適用 特に郷里の伝承を取り扱える経について 経典における種々の傾向]
[第一章 根本的立場]
(一)ブッダは哲学的思索を斥けたか 形而上学的問題に対する沈黙の意義
(二)仏教の新しき立場 正統バラモンの思想 非正統的唯物思想 二つの思想潮流の対立と仏教の立場 仏教の思惟の仕方の特質
(三)存在の「法」とは何か 無常苦の意義 「法」の概念の定義 無我の意義 存在と法とを区別する法と存在するものの法との別
(四)存在の「法」の体系としての五薀説 色受想行識の意義
(五)五薀説の基礎としての無我の立場 無我の立場の意義 色受想行識の法としての意義の解釈 五薀の意義の変遷、有情的存在の法としての色と受想行識
(六)存在の「法」の体系としての六入処説 眼耳鼻舌身意の意義 入処の意義
(七)六入処説の独立の意義とその発展 六入処の法としての意義の解釈 五薀説、六入処説、縁起説の関係
(八)「法を観ずること」の意義 真実の院式と実践との関係 残された問題
[第二章 縁起説]
(一)縁起説に対する新しき解釈の概観
(二)縁起説の伝統的解釈が誤れる理由 この誤謬の解明、その一、種々なる縁起系列の間の史的発展の考察 縁起説と六入処説との結合 縁起説の完成
(三)伝統的解釈の誤謬の解明、その二、縁起関係は法と法との依存関係にして時間的因果関係にあらず
(四)九支縁起の解釈 老死の意義 老死と生の関係 生と有の関係 三有の意義 有と取の関係 取と愛の関係 愛と受の関係 受と触の関係 名色の意義 触と名色の関係 名色と識の関係 胎生学的解釈の考察
(五)十支縁起の解釈 識名色の相依関係の意義 六入を縁起支として導入せることの意義
(六)十二支縁起の解釈 識の条件としての「行」 行を縁起せるものたらしめる「無明」の意義 残された問題
(七)十二縁起の注釈に現われたる特殊な解釈、衆生の生活の説明としての縁起法
(八)縁起の逆観、真実の認識の意識 存在するものの滅とは主観的の滅か 無明に条件づけられざる行識名色等は存するか
[第三章 道諦]
(一)五薀六入縁起等の体系の意義 日常生活的実践的現実存在の「法」の体系 実践的現実における事実としての価値 法を観ずる立場における当為としての価値、人間の歩むべき「道」 原始仏教の実践哲学としての四諦の体系
(二)無我の立場と道徳の建立 苦の滅の意義 苦よりの解脱の要求の意義 現実的実践的生活の否定としての道徳に対する疑問 単なる否定にあらず止揚なり 地上の任務の意義 この立場の弱点と後の発展
(三)人間の歩むべき道としての八聖道 正見の意義 始めにして終わりとしての正見 正思の意義 正語の意義 正業の意義 正命の意義 正見を正思、正語、正業、正命に実現する形式としての正精進、正念 正精進、正念の意義 七支の統一としての正定 正定の意義 結論
(四)輪廻思想は無我思想と同一の体系に属するか 両思想の調和の困難の理由 両者を結合せる輪廻紫蘇う解釈の批評 経典の説く輪廻思想 無我の立場と輪廻 縁起思想と輪廻
(五)業の意義 業と行との相違 アショーカ碑文による証明 アショーカ碑文の「法」の意義 アショーカ碑文に輪廻思想は存するか アショーカ碑文における業と八聖道の正業との一致

<仏教哲学の最初の展開>
前編 阿毘達磨論、すなわち仏の法の哲学
 第一章 阿毘達磨論の哲学史的地位
  一 何ゆえにわたくしは阿毘達磨論に関心を抱くに至ったか
  二 阿毘達磨論という言葉の意義
  三 原始経典における阿毘達磨的傾向
  四 阿毘達磨論の成立
  五 法薀足論の内容
  六 品類足論の内容
  七 品類足論における画期的発展
  八 法薀足論における出発点
  九 五法論への発展はいかにしてなされたか
 第二章 三世実有・法体恒有の主張について
  一 何ゆえにここでこの主張を問題とするか
  二 阿毘達磨論における三世実有の意義-時間的様態
  三 時間的様態とプドガラの問題
  四 法体恒有の問題
 第三章 五位分別の原理
  〔一 五位の法の体系〕
  〔二 色と非色との分別〕
  〔三 心と非心との分別〕
  〔四 心相応と心不相応との分別〕
  〔五 有為と無為との分別〕
  〔六 法の自性への反省〕
 第四章 煩悩の分析
  〔一 心所法〕
  〔二 十大地法〕
  〔三 価値の区別(善と不善)〕
  〔四 十大善地法〕
  〔五 十大煩悩地法〕
  〔六 十小煩悩地法と三不善根〕
  〔七 九結〕
  〔八 七隋眠〕
  〔九 八纏〕
  〔一〇 煩悩の類別の意義〕
後編 〔大乗経典に至る仏教哲学の展開〕
 〔第一章〕ミリンダ王問経と那先比丘経
  〔一 問題の所在〕
  〔二 『那先比丘経』〕
  〔三 『ミリンダ王問経』〕
  〔四 本論の比較〕
  〔五 ブッダの存在と推理の問題〕
  〔六 難問と比喩〕
  〔七 ミリンダ王と那先との会見〕
  〔八 最古の層〕
  〔九 無我説〕
  〔一〇 輪廻と業〕
  〔一一 ブッダ論〕
 〔第二章〕法華経の考察
  〔一 法華経に接する態度〕
  〔二 法華経の原典〕
  〔三 法華経の構造〕
   〔(1)全体の構造〕
   〔(2)序品第一〕
   〔(3)方便品第二〕
   〔(4)譬喩品第三から授学無学人記品第九まで〕
   〔(5)法師品第十と見宝塔品第十一〕
   〔(6)提婆達多品第十二から安楽行品第十四まで〕
   〔(7)従地湧出品第十五と如来寿量品第十六〕
   〔(8)分別功徳品第十七から嘱累品第二十二まで〕
  〔四 作品としての様式〕
   〔(1)考察への手がかり〕
   〔(2)方便品の理論的内容〕
   〔(3)如来寿量品の理論的内容〕
   〔(4)様式的特徴〕
   〔付 法華経序品に関する覚え書き〕

<付録>木村泰賢氏の批評に答う
中村元「解説」

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