三々塾宛

IDJ-012
和暦〔明治44年〕01月11日
差出人西田幾多郎
宛先三々塾
西暦〔1911〕/01/11
新版全集の書簡番号205
内容〔封筒欠〕〔年推定〕

 御手紙拝見いたし候 皆々様御壮健にて芽出度新年を迎へられ候由慶賀の至りに存じ候 塾も諸君の御奮励によりかたく真面目にゆき居る由何よりの事と悦び居り候 何卒今年は又よき入塾者を得て塾の長く栄んことを祈り居り候
 塾員は妄りに他に向つて動くを要せず先づ各自自ら修め互に琢磨し余力ありて後他に及ぼす様にせざるべからずと存じ候 他はいかにあらうとも我塾員だけは真摯剛健の気風を養成して他に雷同附随せず他をして自ら帰する所を知らしむる位の覚悟あらんこと切望の至りに不堪候
 先日河合君金沢より帰途当地に来り塾の話なども承り候 先塾員が塾を見舞ふこと甚よき事と存じ居り候
   一月十一日     西田
  三々塾員諸君

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