尾上菊五郎の葛の葉(大阪府)

法量(幅)㎜504
法量(高さ)㎜358
公開解説 押絵の題材となった「芦屋道満大内鑑」は、陰陽師・安倍晴明の伝説「信田妻」をもとにした物語である。恋人・榊に自害された天文博士・安倍保名は狂乱してしまうが、和泉国信田の森で、榊を生き写したような葛の葉姫に出会う。保名と葛の葉姫は夫婦となり安倍童子(陰陽師・安倍晴明)をもうけ、侘住居を構えていた。しかし、この葛の葉姫は偽物で、実は保名が六年前に命を助けた白狐であった。ある日、本物の葛の葉姫が訪ねてきたため、狐は童子との別れを惜しみながら、「恋しくばたづね来てみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉」という一首を障子に書き残して去っていく。
 描かれているのは、この「子別れ」の場面である。明かり窓のはめ込み絵は障子に見立てられ、狐の葛の葉が書き残した句が書かれている。障子に映った狐の姿からは、いじらしさも感じられる。はめ込み絵を描いたのは、押絵行灯の制作者・勝文斎であり、押絵とはめ込み絵の両方に携わることのできた勝文斎ならではの作品といえよう。

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