Yチェア

制作/発行ハンス ウェグナー
制作年代1950
解説デンマークの家具デザインには、リ・デザインの思想と手法が根付いていると言われる。
ウェグナーは「チャイニーズチェア」を出発点として、何十年もかけ自分の作風を確立させた。木の性質を熟知した家具職人としての経験がこの名作を生み出したといえる。
この椅子は、明代家具からヒントを得て、リ・デザインしたチャイニーズチェアをさらに発展させたもので、背板のY字型からこの名が付いたという。後脚に続く、背もたれから前へ伸びた膝掛けを支える支柱は、しなやかな曲線を描き、この椅子のアクセントとなっている。しかし、この一見曲げ木に見える後脚は、板材から曲線に切り出した二次曲線でできていて、斜めに組み立てることで三次曲面に見えるようにしている。工業デザイン的考えで、効率の良い生産ができるような工夫が随所に見られる。名前の由来となったY字の背板は、わずかな曲面だが成形合板でできていて、座面は表面加工した紙紐を編んで作られている。
この椅子は、生涯で500脚以上デザインしたという彼の代表作であり、もっとも多く作られている。特に日本での人気が高く、輸入量がもっとも多い椅子だといわれている。オーク材、アッシュ材、チェリー材など、1つのデザインがさまざまな木材で生産されているのも珍しい。
所蔵館九州産業大学美術館

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