ジグザグチェア

制作/発行ヘリト トーマス リートフェルト
制作年代1934
解説リートフェルトは、デ・スティルの抽象芸術運動の中でデザインした直線的な「レッド&ブルーチェア」の製作後、ファイバーボードや合板、アルミニウムなどで、曲面を取り入れた機械的な美しさとそれを表現するための技術の研究に没頭した。しかし、家具の量産化を推し進めようと努力した彼は、再び抽象と木材に回帰し、椅子に斜線を導入することによって、まったく新しい形態学的理念を椅子に持ち込んだ。そして1934年4枚の平板をジグザグに接合した奇抜な「ジグザグチェア」を製作した。
この椅子は、背、座、支板、基盤からなり、座と基盤の間を斜めの支板で接合している。上から見ると座の手前が若干広がって台形状、側面から見るとZ型を呈する単純な構造である。見るからに不安定な感じを与え、完成させるにはさまざまな試行錯誤が必要だったという。背と座は刻み継ぎによって接合され、座と基盤の鋭角部の接合は補強のため2つのくさびが差し込まれている。
こうしてできた「ジグザグチェア」はスタッキングもでき、背には持つための窪みをつけたり、基盤の四隅に丸いゴムをつけたりするなど、細かい配慮がなされる。まるで1枚の板を折り曲げたような斬新な形態は、のちのプラスチックによる一体成型の椅子へと引き継がれた。
所蔵館九州産業大学美術館

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