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タイトル(よみ)はち
作家バーナード・リーチ Bernard Leach
制作年1952年頃
寸法10.0×31.5×31.5cm
員数1
解説 1920年代の日本とイギリスでほぼ同時に富本憲吉とバーナード・リーチという二つの個性によって近代の個人作家的陶芸制作は本格化する。柳宗悦ら民芸運動の指導者たちとの交流の中で、リーチは陶芸作家として独自の表現を確立するに至る。また同時に、工業化に抗って「手仕事」の意味を問いかけ、ウィリアム・モリスの工芸運動を作家としての陶芸制作のなかで日用食器に取り組むというかたちで実践している。国際工芸家会議の指導者でもあったリーチの影響力は大きく、彼の考え方はイギリスのみならず、広く20世紀の世界の陶芸界に浸透していった。 本作品は、セント・アイヴスのリーチ窯でリーチ自身により絵付けされたものである。作品の底部には、<S.I.>の印と、リーチのサイン<B.L.>が認められる。このように彼の創意による意匠を凝らした一連の実用陶器は「B.L.装飾(B.L.Decorated)」と呼ばれ、彩のある日用食器として特別価格で販売された。魚文はリーチがしばしば素描や図案に残しているとおり、彼が好んだ模様である。本作品の双魚文もつつましい品格をそなえ、あくまでも普段使いを前提としたB.L.装飾のコンセプトがよく表れている。本作品は、自作の器を廉価にて普及させようとしたリーチの制作姿勢を示す優れた作例である。

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