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ボウル《ローマ》

タイトル(よみ)ぼうる《ローマ》
作家カティ・トゥオミネン=ニイットゥラ Kati Tuominen-Niittyla
制作年1996年
員数5
解説 フィンランドの近代陶芸は、W.モリスの思想を引き継ぐアルフレッド・ウィリアム・フィンチによって方向付けられた。さらにアラビア製陶所がアート・ディレクターとして1932年にクルト・エクホルムを迎えるに至り、工場製産と個人作家的制作活動の両立態勢が整えられ、量産向けのデザインと個人作家的一品制作を両立させるこの国の陶芸家のスタイルが確立する。カティ・トゥオミネン=ニイットゥラは、1980年アラビア製陶所に所属して以来、同社の製品デザインを手がけながら、個人作家としてこの国を代表する地位を確立した作家である。
 本作品は「穴のあいたボウル」という発想を展開させ、洗練させることによって生まれた。シンプルな円形の皿の中心に空隙を設けることによって生じる新たな造形美と機能を融合させ、食卓を演出する道具として使い手の創造性を掻き立てる工夫が凝らされている。製品化にあたり、人々が丸くなって集まる場所というイメージから「ローマ」と名付けられ、アラビア社の代表的製品である本シリーズが誕生した。
 本作品は、アラビア社の優れた製品であるのみならず、量産製品のデザインと個人作家的陶芸制作の両立を特徴とするフィンランドの陶芸状況を端的に示す作例である。

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